バニラ―A sweet partner / アサウラ

 イイ・・・この作品の放つ閉塞感。そして読後の胸中に留まる遣る瀬無さ。
 また、トラウマや現状の苦痛と脱出。そのために武器を持つこと、心から寄り掛かれる相手(場所)、超法規的な自己防衛手段・・・少女二人が駆け抜ける様は、桜庭一樹の『少女には抜かない職業』に近いテイストだ。


 しかし、桜庭作品と違うところは二人の刑事という存在。少女と感情移入した読者両者を助けるようだ。
 主に道化役なんですが物語にメリハリをつけているし、彼らと少女の掛け合いが、どちらも正論過ぎて悲しくて辛い。
 下手したら刑事の言葉に対して今度は遣る瀬無さをひしひしと感じてしまうかもしれない。
 最後に少女たちがどういう結末を選ぶのか。刑事ふたりがどう動くかを見極めてほしい。


バニラ A sweet partner (スーパーダッシュ文庫)

バニラ A sweet partner (スーパーダッシュ文庫)