物語の主人公が主役とは限らない。

 Fate / Zero ② 王の狂宴 読了。

 群像劇で物語(回想)は拡げられているので、主人公はいったい誰なのかという問いは解けない。
 しかし、主演・主役は誰なのかはあの人に決定でしょう・・・ライダーこと征服王イスカンダルさん。
 1巻では豪放磊落な部分ばかりだったか、器の大きさというより親しみやすく言い表すとお茶目さん。

 ライダーが自慢げに見せびらかす小包の宛名書きを確かめる。――『冬木市深山町中越ニーニー八マッケンジー宅・征服王イスカンダル様宛』と冗談のような内容が大真面目に書かれている。送り主は『キャラクターグッズ専科・アニメンバーなんば店』とあった。
「……説明しろ。ライダー」
「通信販売というヤツを試してみたのだ。『月間ワールドミリタリー』の広告欄に、なかなかそそられる商品があったのでな」
出所:Fate / Zero ② ACT5 102P 

96P〜109Pのくだりは実に愉快、名コンビだ。

 普通に酒盛りを主催するノリや宝具の最強具合といい。大真面目な発言すら笑えてくる・・・といっても、他のキャラより強烈な存在感を放っているので、暫定的な主役という立場で。

 ちなみに、小道具:アーチャーこと英雄王ギルガメッシュさんで・・・意外と身内にいい人だぞ発言も垣間見える。

 嘲りに鼻を鳴らすアーチャーの傍らで、虚空の空間が渦を巻いて歪曲する。それが、あの無数の宝具を出現せしめる怪現象の前兆に他ならないことを見知っていたウェイバーとアイリスフィールは、総身に悪寒を感じて腰を浮かせた。
 ――が、今夜のアーチャーが傍らに呼び出したのは、武具の類ではなく、眩い宝石で飾られた一揃いの酒器だった。重そうな黄金の瓶は、済んだ色の液体をたっぷりと湛えている。
「見るがいい。そして思い知れ。これが『王の酒』というものだ」
「おお。これは重畳」
出所:Fate / Zero ② ACT8 334P

 で、肝心の切嗣さんはというと*1・・・舞台装置? やりましたよこの人。ビルを破壊しましたよ。そして、衛宮の血統と自身のことが語られますが、魔術師に対しての最強っぷりというかアイテムの卑怯さといい。いい感じに暗躍っぷり(裏方根性?)が染み出てます。
 なんか、Fate本編と比較にならないほどキャラクタ強い、なんか大人の戦いが熱く繰り広げられている。でセイバーは弄られているなぁという感慨にふけるのでした。第三巻では綺礼がどう動くのかが気になるわぁ。あっ、雁夜お兄さんもね。

*1:現場と中継を繋ぐような口調で