神童 音に触れる。琴線に触れる。

 新聞に目を通していると映画欄が視界に入った。

 どんな作品なのか検索してみると、

 天才的なピアノの才能を持つ小学校五年生の少女と絶対音感を持つ大学浪人生の心の交流を描く。

 と出てきた。この年の差の離れた青年と少女の交流にどこかピュアな愛というかなんというか、まぁそんな感じのものが見えたので、なんとなく面白そうだったので原作の神童を購入。

 漫画で音楽表現。擬音とそういうのではないようで、音がどのような情景や其れを聴く聴衆がどんな反応を覚えるかで、その表現が見られる。
 紙面において芸術的なモノ。または分かりやすいテーマで言うと料理なんかはいかに調理の精緻性を説明するか、審査員のオーバーリアクションかで判断するが、音を表現する場合になると擬音などに頼る面が多い。
 純然たる音を表現することが小説だと地の文やモノローグで細かく表現できる*1が、や聴覚を感じることの出来る映画とは違い難しい。
 最近は「のだめカンタービレ」や少し前だと「ピアノの森」などが挙げられるが、その先駆的作品らしい。

 はじめにワオとうたの関係を見ていたが、二人のすげえ純粋なまでの強い絆に頭の隅に張り付いていて、気にはなるのだがそのどっちつかずな存在が逆に刺激になっていて、その感情は二人が会うたびに音楽の場に移ると、音になって聞き入るというか見入ってしまう。
 読んでみると、そのコマから次のコマまでに移るまでの無言の雰囲気や人物の表情や間の取り方が確かに何かを発している。
 また、人物との出会いも音が先にあり、常に音があることがわかる。

 大丈夫、わたしは音楽だから。

 うん、音楽家のお話ではなく音楽のお話なんだなと思った。

神童
神童
posted with 簡単リンクくん at 2007. 4.10
さそう あきら
双葉社 (N/A)
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*1:文字だけ=想像性に左右